一番多いのは一番下のレベル1の人で、それは経営者としての訓練を十分に受けないまま役員から社長に昇進した人です。一方で強烈な社内での権力闘争に勝ち上がった人でもあります。
ビジネスパーソンの教科書として読まれている漫画の『島耕作シリーズ』を読み返してみるとわかります。
ストーリーの中で島耕作たちがやっていることは主に社内政治です。あえて付け加えるとあとは恋愛ですね。もちろん課長時代も部長時代も、それぞれ置かれた場所では仕事の成果を出して認められてはいます。これは日本の大企業で出世する人たちが通ってきた典型的な道を描いた漫画なのです。
日産の内田前社長はゴーン改革の中枢だった購買部門で成果を上げてきました。日産では購買部門の政治力が強くなり、歴代の社長を輩出するようになります(内田誠氏、山内康裕氏、西川廣人氏)。

セブンの井阪氏はセブンイレブン時代にセブンプレミアムで大成功し、カリスマ経営者だった鈴木敏文会長兼CEO(2016年当時)との社内政治闘争に勝ち上がり経営トップの座を奪い取りました。
日産のゴーン氏は毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人物ではありますが、後述するように、一番上のレベル3だった経営者です。ゴーン氏を政治的に排除した後の日産では「会社を導く力」という点で明らかにゴーン氏よりも力量が劣るひとたちに会社の未来を託されます。
実際、ゴーン以後の日産からは会社のビジョンがまったく見えなくなり、ゴーン氏逮捕から6年たってみると日産は売れ筋の車がない状態にまで陥りました。