また、ライフステージの変化によって働き方を変えざるを得ないのは、いまだに女性が多い傾向にあります。

 例えば、育児や介護で時短勤務を選べば、必然的に給与も下がります。このように、年収だけでキャリアの価値を測ることには違和感があります。

 私自身も、ライフステージの変化に合わせて取捨選択を繰り返してきました。最初の転職では年収が1/3に下がりましたが、その後のキャリアの市場価値は確実に上がったと感じています。キャリアの市場価値は、単純な数値や肩書きだけで測れるものではないのです。

たった1つの強みだけでは
キャリアの選択肢が狭くなる

 私が考えるキャリアの市場価値を測る重要な指標の1つは、「掴めるキャリア選択肢の多さ」です。

 1つのキャリアだけで突き抜けて勝負ができる人は稀です。重要なのは、その周辺のキャリアを合格点まで伸ばして組み合わせることで、複数のキャリア選択肢を持つことです。

 選択肢が多いほどチャンスも広がります。

 ここで、皆さんもイメージしやすいように私自身のキャリアを振り返ってみます。

 1社目では、営業、キャリアコンサルタント、そしてチームマネジメントを経験しました。その後、人事領域のキャリア選択肢を広げたいと考え、事業会社の採用担当に転職しました。

 人事職には採用だけでなく、労務、研修・育成、人事制度、組織開発など、様々な役割があります。人事としてキャリアを形成するなら、労務の知識は避けて通れないと考え、社会保険労務士の資格を取得しました。

 その後、スタートアップにおいて、エンジニア採用や人事制度の構築、組織文化の醸成といった幅広い業務に携わる機会を得ました。

キャリア同書より転載 拡大画像表示