さまざまな方法を使って
相手のリサーチを重ねる

 お礼(2)手土産

 謝礼をお支払いすると逆に恐縮するだろうな、固辞されるだろうな、と想定されるお相手の場合、僕は手土産を持参するようにしています。例えば人前に出ることを仕事にはしていない一般の方、公共性や社会性の高いプロジェクトなどに携わっている方などが挙げられます。

 せっかくなら本当に喜ばれるものを贈りたいですよね。ですからリサーチは入念にしたいものです。真っ先にあたりたいのはご本人の公式情報ですが、これといったものが見つからなかった場合――いくつかの方策があります。

 まず、どなたかを介してお相手にお目にかかる場合。迷わず紹介してくださった方へご相談しましょう。高田賢三さん(正しくははしごだか)へお目にかかった時がまさにそうでした。世界的なファッションブランドの創始者でパリ在住。まさに「センスの化身」のような方です。

 そんなときに頼りになるのは相手をよく知る方(≒紹介者)ですよね。となると賢三さんの場合は紹介してくださったシェフ、中山豊光さんでした。彼もまたパリ在住。紹介のお礼を直接したいし、彼の料理も久々にいただきたい。そう思った僕は、賢三さんの取材前日に中山さんのお店「TOYO」を訪れました。

「明日は賢三さんに会う日ですよね。いいインタビューになりますように」

 東京ミッドタウン日比谷への出店を控え多忙な時期にもかかわらず、いの一番に僕を気づかってくれる中山さん。さすが賢三さんの専属料理人だった方だと改めて感じ入るとともに、僕はざっくばらんに「彼に最適な手土産がなかなか見つからなくて…」とご相談しました。

 すると「甘いもの、特に和菓子がお好きですよ」と中山さん。和菓子!渡航前に知っていれば買えたのに。それにいくらパリとはいえ和菓子の名店があるだろうか。そんな僕の心の声が聞こえたのか、中山さんは優しくほほえみながら教えてくださいました。

「賢三さんは『とらや』のようかんがお好きです。パリの店舗にもよく足を運ばれていますよ」