これほどピンポイントでありがたいアドバイスがあるでしょうか。TOYOの美食とワインに酔いしれながらも「やはりリアルに勝るリサーチはない」と痛感させられるランチタイムとなりました。
彼に丁重にお礼を伝えた後、僕はすぐさまUber(配車サービス)で「とらや」パリ店へ。無事にようかんを購入し、賢三さんに喜んでいただくことができました。
複数のレパートリーを持つのが
手土産問題を解決するポイント
次に、紹介者の方への相談が難しい時や相談させていただいたもののこれぞという品が判明しなかった時、もしくは直接のアポイントでそもそも紹介者がいない時はどうすればよいでしょうか――実のところ、中山さんへの手土産選びがまさにこのシチュエーションでした。
賢三さんとフィールドは違えど、彼もパリで活躍するトップランナー。味覚とセンスで勝負している方だけに、日本で流行のお菓子を持っていくのも気がひけます。そこで僕は、だれもが知っていて好き嫌いが少ないと思える王道のお菓子を選ぶことにしました(ヨックモックの詰め合わせをお贈りしたと記憶しています)。スタッフに日本人の方が少なからずいることをリサーチしていたので、「皆で分けられる」「皆に馴染みがある」との理由から選びました。
このときのギフトにサプライズはなかったかもしれません。ですが、手土産の目的はそこにはありません。シンプルに感謝の気持ちを伝え、喜んでいただくことです。実際、僕の想像以上にスタッフの皆さんに喜んでいただけたことを今も覚えています。
以来、僕がこのようなシーンで悩むことはほとんどなくなりました。自分のなかでいくつかのレパートリーを持っておくと、都度頭を抱えなくて済むでしょう。個人的には、常温保存で日持ちもするお菓子の類がベストだと思います。
なお、お相手が著名人であれば、Web OYA―bunkoにあたっておくのもおすすめです。
たとえばインタビューでお目にかかる機会をいただいた、華道家元池坊次期家元の池坊専好さん。僕は手土産に青森県板柳町のりんごジャムを差し上げました。約20年前の記事で彼女がこのジャムを「お気に入りの逸品」として絶賛していたからです。ジャムを手にした彼女はそこまで調べてきたことにとても驚き、そして喜んでくださいました。