試合に出られない…
逆境の中で遠藤が貫き通したこと
ピッチに立つ時間が減れば、その分だけ試合勘や試合体力が失われていく。負の連鎖は、やがては日本代表として出場するワールドカップ・アジア最終予選にも大きな影を落とすのではないか。自身を取り巻く状況を不安視する声を、遠藤は「そんなに気にはしていないですよ」と笑い飛ばしている。
「11人だけではサッカーはできない。大事なのは普段のトレーニングからしっかりといい準備をして、いざチャンスがきたときには結果を残すために最大限のプレーを見せる。それだけなので」
遠藤がこう語ったのは昨年9月の代表活動期間中だった。リバプールで出場わずか1試合、プレータイムは1分ほどにとどまっていた当時の遠藤の背中を強く押した金言がある。森保ジャパンのコーチに就任した日本代表の元キャプテン、長谷部誠氏はこんな言葉を遠藤にかけている。
「僕たちの年齢になれば、そんなに試合に出ていなくても試合勘などにはほとんど関係ないよ」
しかし、その後も状況は変わらない。リーグ戦での先発がないまま迎えた今年3月。8大会連続8度目のワールドカップ出場を決めたバーレーン代表とのアジア最終予選後に、遠藤へこんな質問が飛んだ。
「リバプールでほとんど試合に出ていないのに、プレーのレベルが変わらないのはなぜなのか」
遠藤は「もちろん(リバプールでの)現状には満足していません」と前置きしながらこう答えた。
「リバプールに所属しているのがすべてだと個人的には思っている。普段のトレーニングでのインテンシティー(強度)の高さを含めて、レベルの差が日本代表での自分のパフォーマンスに直結している。もちろんリバプールで試合に出られないなかで、自分なりに考えてプラスのトレーニングもしています」
試合に出られなくても選手は成長するのか。素朴な疑問に、遠藤はさらにこう語っている。