「出場機会は多くなかったけど、そのなかでしっかりと高いパフォーマンスをキープしながらプレミアリーグ優勝に貢献できたと思っています。プレミアリーグ優勝はそんなに簡単ではないと実感したし、そのなかでも先発で出る選手だけじゃなくて、途中から出る選手たちの重要性というのをすごく感じたシーズンでしたし、同じ図式が日本代表にも、そしてワールドカップにも当てはまる。すごく満足しているわけではないけど、次のシーズンにつながる素晴らしい1年間だったと思っています」

「どのポジションでもかまわない」
遠藤が監督に伝えた信念

 遠藤の立場が一変したのは、リバプールの体制変更による部分が大きい。遠藤の獲得を熱望し、最初のシーズン途中から重用したドイツ出身の名将ユルゲン・クロップ監督が昨シーズンをもって勇退。母国オランダのクラブを率いていた、アルネ・スロット新監督のもとでプレミアリーグ王者を奪還した。

 昨秋にはスロット監督が遠藤の放出をリバプール側へ要望した、とする記事がイギリスメディアで報じられた。契約を残す遠藤の移籍に伴って発生する違約金で、中盤の守備的なポジションに将来有望な若手を加えたいと指揮官が望んだとする記事は、遠藤が構想外に置かれている状況を示唆していた。

 ただ、遠藤は昨シーズンが始まる前に新指揮官と話し合いの場をもっていた。今年8月に入ってリバプールの公式ホームページで公開されたインタビューで遠藤自身が明かしている。

「どのポジションでプレーしてもかまわない、と監督には伝えました。6番(ボランチ)でもサイドバックでも、あるいは日本でプレーしていたセンターバックでも試合に出れば100%の力を尽くす、と」

 言葉通りに遠藤は短いプレータイムのなかで、常に安定したプレーを披露した。起用法が激変しても決して腐らず、日々のトレーニングでベストのパフォーマンスを披露し、いつ訪れるかわからない出場機会に備え続けた。スロット監督に申し出た通りに、センターバックで途中出場した試合もあった。