コンサル大解剖新社長の濱岡大氏(右)と会長に就任した江川昌史氏 Photo by Akira Yamamoto

12月1日、アクセンチュアの新社長に濱岡大氏が就任した。前社長の江川昌史氏は代表取締役会長に就いた。同社はここ10年で売上高を7倍に成長させるなど、他のコンサルティングファームの追随を許さない圧倒的な勝ち組として業界内で君臨してきた。今回、満を持したトップ交代となったが、両氏は今後アクセンチュアをどうかじ取りしていくのか。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、濱岡体制の発足に先立ち開かれた記者会見の質疑の全文を一問一答形式で詳報する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

アクセンチュアが10年ぶり社長交代
濱岡氏、変革のスピードアップを追求

 実に10年ぶりの社長交代だ。12月1日、アクセンチュアの社長に濱岡大常務執行役員が昇格し、江川昌史社長は代表権のある会長に就いた。江川氏はアジアパシフィック(APAC)の共同CEO(最高経営責任者)とグローバル経営委員会メンバーも引き続き担う。それに先立つ11月27日、同社はトップ交代会見を開いた。

 濱岡氏は1998年に慶應義塾大学卒業後、アクセンチュアに入社。戦略・業務コンサルティングなどを専門領域とし、直近ではビジネスコンサルティング本部の統括本部長を務めていた。「チームワーク優先というよりは、強くリーダーシップを発揮するタイプ。コンサル会社のトップとしては欠かせない資質を持っている」(アクセンチュア幹部)との評価もある。

 江川氏は「25年近く共に仕事をしてきて、同じクライアントを担当したことも多々ある。人となりも深く知っており、この難しいAI(人工知能)時代を乗り切るにはふさわしい人材だ」と述べ、後継者としての濱岡氏への期待をにじませた。

 江川氏が社長に就任した2015年から10年、アクセンチュアは社員数が5倍、売上高が7倍に急成長した。デジタル時代の到来を先見し、「プロジェクト・プライド」と呼ばれる働き方改革などによって、デジタルビジネスを推進する多様な人材の獲得に成功。市場の拡大とともに、飛躍的な成長を遂げてきた。

 濱岡氏は今後のアクセンチュアについて、「アクセンチュアが持つネットワークやノウハウの活用、パートナー企業とのコラボレーションによって、これまで以上にスピードを上げて価値を提供する『変革のプラットフォーマー』であり続けていく」と語った。

 もともとデジタル領域に強みを持つアクセンチュアだが、目下、経営の一丁目一番地となっているのが、生成AI時代に対応したビジネスシフトだ。濱岡氏は、これまでの江川路線を継承しつつ、アクセンチュアがグローバルで推進する生成AIシフト路線を成就させることで、同社をさらなる成長軌道に乗せていく考えだ。

 その濱岡氏はアクセンチュアの今後のかじ取りや現在の経営環境について、どう考えているのか。次ページでは、会見の質疑で両氏が語った内容の全文を一問一答形式で明らかにしていく。

 人材採用では、足元で積極採用に二の足を踏むコンサルファームもある中で、濱岡氏は「緩める気はない」と断言。また、江川氏は代表取締役の体制や役割分担に加え、APACでの日本の売上高の比率や独自性について語った。さらに、話題となったグローバルでの人員削減を含む「事業最適化プログラム」の日本への影響やその真意について明らかにした。