
KPIを設定し、ダッシュボードを整備しても「行動が変わらない」企業は多い。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、数字を真に生かし、KPIを行動変化のきっかけとするための方法、組織文化づくりについて解説する。
ダイエットと同じく行動を変えるには
「観測」の視点が必要
朝、体重計に乗り、変わらない数値にため息をつく。そんな毎日を繰り返していても、ダイエットは進みません。
それと同じように、プロダクトの健全性や成長性を把握するために、KPIを定義し、ダッシュボードを整え、定期的に数字をチェックする体制を築いているにもかかわらず、「行動が変わらない」「数字を施策に生かせない」と悩む企業は少なくないのではないでしょうか。
その原因の1つは、数字を“答え”としてだけ捉えてしまう思考にあります。KPIはゴールではなく“問いを生むためのきっかけ”です。「なぜこの数字が変化したのか」「そこから何が読み取れるのか」という視点を持てなければ、数字は報告資料の一要素以上の意味を持ちません。
重要なのは、KPIの中に「測ると決めていた数字(計測)」と「予想していなかった異変に気づく数字(観測)」の2種類があるという視点です。戦略的に設計された数字だけでなく、ユーザー行動ログやエラーの兆しといった情報を拾い上げる視点がなければ、プロダクトの進化は止まってしまいます。
では「数字を見て終わり」にせず、KPIを行動のきっかけとするための仕組みと文化は、どのように作ればよいのでしょうか。また、異変に気づく「観測の視点」は、どのように身に付ければよいのでしょうか。