
ジャクソンホール会議で講演
「政策姿勢の調整が正当化される」
世界の注目を集めたジャクソンホール会議(8月22日)で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は政策転換、つまり利下げの再開を示唆した。
金融市場はFRBの9月の利下げ実施を予想、ドル円レートは直後に1ドル148円台半ばから146円台半ばへと大幅にドル安・円高が進んだ。
また、米国株および米国債は大幅高となり、ダウ平均株価は去年11月以来の最高値更新となった。
今回のジャクソンホール会議のテーマは労働市場(転換期の労働市場-人口動態、生産性、マクロ経済政策:Labor Markets in Transition ? Demographics, Productivity and Macroeconomic Policy)で、まさに、下方修正された7月米国雇用統計をパウエル議長がどのように受け止め、金融政策にどのように反映させるのかが講演の大きな注目点だった。
まずパウエル議長は、関税に起因する物価高のリスクについては、一時的な側面が強い一方、持続的にインフレリスクを高める可能性もあることから警戒を緩めないという従来の姿勢を維持した。
他方、労働市場については、移民政策の厳格化による労働力の伸びの減速などで、労働供給と需要が共に縮小しており、その結果失業率で示される労働需給には大きな変化が生じていないという「特殊な状況」にあることを指摘し、雇用の下振れリスクは高まっているとの判断を明確に示した。
「政策金利が引き続き景気抑制的な水準にある中、雇用の極大化と物価の安定の2つの使命のバランスがシフトしたため、政策姿勢の調整が正当化されるだろう(with policy in restrictive territory, the baseline outlook and the shifting balance of risks may warrant adjusting our policy stance)」と説明した。
これは、9月16~17日の次回FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ実施を示唆したものと考えてよいだろう。