「株価は割高」の悲観論を歓迎すべき理由、米著名投資家が語る高PERリスクの“嘘”Photo:PXITA

日本市場でも世界市場でも、株価収益率(PER)の高まりをバブルの兆候と捉え、警鐘を鳴らす専門家が後を絶たない。しかし、米著名投資家ケン・フィッシャー氏は、そうした懸念を一刀両断する。今、あちこちで指摘される「PER悲観論」が、投資家にとってむしろ歓迎すべき朗報であるかを、市場の「不安の壁」を味方につけ、強気相場を乗りこなすための逆転の発想として提示する。

バリュエーションに
株価予測力はない

 株式相場は「高すぎる」のだろうか。弱気派は、日本で上昇し、世界ではさらに高い水準にあるPER(株価収益率)を市場バブルの危険な兆候として懸念している。多くの者は、バブルが弾ければ、相対的に割安な日本市場でさえ打撃を受けると恐れている。

 だが、それは間違いだ。端的に言えば、バリュエーションは株価の方向性を予測しない。そもそもバリュエーションは、これまで一度も予測できたことなどない。数十年の歴史が、現在の懸念が的外れであることを証明している。

 なお、誤解のないように言っておくが、本稿は2026年の相場予測ではない。私の相場予測は追って発表する。しかし、今後市場がどのような動きを見せようとも、バリュエーションがその原因になることはない。