「プレゼンの前になるとガチガチに緊張してしまう」
――「実力を発揮できないメンバーにどう声をかけるべきか」と頭を抱えるチームリーダーがいるかもしれない。ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、この不安や緊張をポジティブな感情へと捉え直すことで、その後のパフォーマンスが劇的に向上することが可能だという。
参考にしたいのが、世界中で行われた経営学、心理学、経済学等の研究成果をもとに、グロービス経営大学院の教授陣が協力して書いたチーム・ウェルビーイングの教科書。「チームリーダーにできるちょっとしたのコツ」をまとめた一冊『職場を上手にモチベートする科学的方法――無理なくやる気を引き出せる26のスキル』
今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、この「逆発想のフレーズ」を活用し、個人だけでなくチーム全体の高揚感とウェルビーイングを高める具体的な方法を科学的エビデンスと共に紹介。

緊張Photo: Adobe Stock

プレゼンの前に緊張しすぎるメンバーがいます

 竹中さんは商社の経営企画部でチームリーダーを務めています。竹中さんのチームは、経営計画のプレゼンをさまざまな会議で行います。

 ところが、チームメンバーの桜井さんはいつも、プレゼンの前にガチガチに緊張してしまいます。気の毒なほど緊張して言葉に詰まることもあります。桜井さんは思いどおりの力を発揮できず、自信をなくしているようです。

 そこで竹中さんは、「落ち着いてプレゼンすれば大丈夫ですよ」とアドバイスをするのですが、桜井さんはどうしても緊張するようです

 桜井さんのように、プレゼン、さらには重要な商談や会議の前になると、不安や緊張に駆られるビジネスパーソンは少なくないものです。そして、不安や緊張が強くなると、桜井さんのように自信を失い、仕事のパフォーマンスが落ちかねません。

 緊張する場面に置かれたとき、多くの人は「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせて、なんとか冷静になろうとします。そして竹中さんのように、緊張している人にもそうアドバイスします。

 しかし、このやり方に効果があるのでしょうか。ほかに有効な方法はないのでしょうか。