アップルが、予想通りインターネット・ラジオに進出する。
これは、今週開かれたアップルの開発者会議「WWDC2013」の基調講演の目玉発表のひとつで、「iTunesラジオ」と名付けられている。今秋に予定されているiOS7のリリースと同時にスタートするとのことだ。
やはり、という感想が業界で聞かれるのだが、この「やはり」は「やっぱり進出するか」という意味と、「やっぱり真似したか」という意見の両方を反映している。
かつてインターネットとデバイスとコンテンツを結びつけてiTunesを発表し、画期的な音楽の聞き方を人々の間に定着させたアップルとしては、遅過ぎた参入。何年も前からインターネット・ラジオを運営する強豪らに対して、いったい勝ち目はあるのかと見られているのだ。
現在のインターネットラジオは
第三世代
米国でのインターネット・ラジオは、すでに第三世代に入っているといってもいいだろう。第一世代は、「シリウス」や「XMラジオ」といった衛星放送ラジオがインターネットに配信を始めた2000年代初頭に出現。それ以前にも実験的な放送はあったが、大きく喧伝されたのはこの2社だ。シリウスは後になってXMを買収した。
その後、2005年にパンドラがスタート。「パンドラ」は、ミュージック・ゲノム・プロジェクトという研究から派生したサービスで、音楽の構造を分析し、類似した楽曲を探し出すという機能がある。これを用いれば、ある楽曲が好きなユーザーに合った同じようなタイプの楽曲を見つけることができる。
このパンドラに少し遅れてヨーロッパでスタートしたのは、「スポティファイ」というサービスだ。ヨーロッパでかなりの人気を得て後、アメリカ米国にも進出。使いやすさと、無料あるいは安い料金体系でユーザーを増やした。
第一世代は、ブロードバンドがまだ広範囲に行き渡っていないこともあり、それほど隆盛しなかったが、第二世代が出てくる頃には世の中がすっかり変わっていた。