通帳を見て悩む女性写真はイメージです Photo:PIXTA

水道料金の値上げが、全国の自治体で相次いでいるのはなぜか?近年、水洗トイレも洗濯機も進化し、必要な水量が減少。水の使用量が減っているのだから、料金も安くなるはずだと思うかもしれない。だが、実際には逆の現象が起きていた。水道料金の構造的な特徴と、「水が売れない」水道事業者の現状を、水ジャーナリストの著者が解説する。※本稿は、橋本淳司『あなたの街の上下水道が危ない!』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

同じ水道料金なのに
8倍もの自治体格差

 ここ数年、水道料金の値上げに踏み切る自治体が相次いでいます。メディアではたびたび取り上げられる話題ですが、その理由を構造的に説明する記事や番組は少ないようです。

 2015年から2024年までの10年間で、全国の水道事業者のうち3割超が料金を引き上げました。2024年だけを見ても、32の道府県で約80の水道事業者が値上げを実施しており、その動きは全国に広がりつつあります。

 しかし、新聞やテレビでは「○%の値上げ」といった改定率ばかりが報じられることが多く、自分の家庭の水道料金がどのように変わるのかは、なかなか見えてきません。

「なぜ、いままでと同じように水を使っているだけなのに料金が高くなるのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。水道料金の値上げは、私たちの暮らしに直結するだけに、納得できる説明が求められています。

 水道料金は、自治体によって大きく異なります。さらに、家庭の水道管の口径や使用量によっても差が生じます。水道料金は大きく「基本料金」と「従量料金」に分かれており、使用量に応じて加算される仕組みです。

 正確な金額は、各自治体が提供する「料金試算表」などを参照する必要があります。