
7・8月の米雇用統計が示した雇用の伸び失速を背景に、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを決定した。物価安定と雇用最大化というデュアル・マンデートの下、雇用リスクを重視した政策転換だが、内部では「トランプ派」が存在感を強め、独立性や中立金利を巡る議論に不透明感が漂っている。(マーケットコンシェルジュ代表 上野泰也)
雇用失速が利下げ再開を後押し
ドットチャートは追加緩和を示唆
7・8月の米雇用統計が示した雇用の伸び失速に背中を押される形で、長く止めていた利下げの再開に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は動くことになった。
9月16・17日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、賛成多数で0.25%ポイントの利下げを決定した(図表1参照)。
「ドットチャート」(FOMC参加者による政策金利見通し)の中央値では、今年の年末までに、あと2回の利下げが見込まれている。2026年末のドットは下方にシフトした(図表2・3参照)。
次ページでは、米国経済の現状を検証しつつ、金融政策の先行き、金利動向を予測する。