平成25年の税制改正で、相続税が大増税! そして増税もさることながら、相続にからむトラブルが急増中。しかし、実際に相続を体験する前は、どんなことがトラブルになるのかさえわからないものです。新刊『新版 相続はこうしてやりなさい』から、相続専門の税理士が相続税のイロハを抜粋してご紹介します!

お金持ちだけじゃない!
「相続」はどんな人にも関係する!

「ウチの相続は戦争のようだった」

 私たちが担当した、あるご家族の言葉です。相続はほぼすべての方が一生に一度は経験することであり、家族の人生を左右することもある重要な出来事です。しかし残念なことに、相続をきっかけに遺族間で争いが生じ、確執が生まれ、修復できない溝が出来てしまうことや、思わぬ相続税の負担に苦しむことも少なくありません。

 私たちは、会社の顧問やコンサルティング業務を主な仕事としている税理士が多い中、業界では珍しいと言われている「相続専門」の税理士事務所です。設立以来、多くのかたから様々なご相談を受け、年間100件以上の案件を取り扱っています。
 そういった経験上、多くのみなさんが言われることがあります。

「もっと生前から準備しておくべきだった」

「こんなに相続税がかかるなんて知らなかった」

という相続税に関すること。そして、

「自分が親の世話をしていたから、財産を受け取ることができるのは当然だと思っていた」

「兄弟姉妹の連れ合い(義理の兄や姉など)が、こんなに口を出してくるとは思わなかった」

などという親族間のトラブルについてのことです。

相続問題は大きくわけて2つ!

 相続問題には、大きくわけて2つの問題があります。
 遺産が少なくても親族の間で発生する「遺産をめぐる争いの問題」と、不動産等の遺産額が多くて発生する「相続税の納税負担問題」の2つです。
 そして、最近では、遺産分割のトラブルが多くなっています。

 このため、ご自身もしくはご両親等に、近い将来、相続が発生しそうなのであれば、「遺産分割をスムーズにできるようにする」そして「相続税の負担に備える」ことを前もって準備する必要があります。

 逆に言うとこの2つの相続問題さえクリアできていれば、相続が起きた時でも円満に相続を終えることができるのです。

 遺産分割に関しては、「うちは家族の仲がよいから絶対にモメないですよ」とよく聞きますが、残念ながら、実際に相続が発生し、お金が絡むと、例え血の繋がった家族・親族でも変わってしまう人がいるのです。そうならないためにも、相続が起きる前の関係が良好であろうとなかろうと、きちんと準備をしておく必要があります。相続が起きてからでは手遅れなのです。

 また相続税に関しても同じです。「相続税なんて相続が発生してから計算すれば大丈夫だよ。生きている時からそんな話はやめておこう」こんな認識をお持ちの方はすぐに改めるべきです。

 相続税は非常に税負担が重い税金です。今回の法改正に伴って最高55%の税率、つまり相続した約半分も相続税が課税されてしまいます。また資産の大半が土地である場合には、現金が足りなくなり、納税資金が不足するといった事態も多く起こっていますし、納税の期限もあります。

 この相続税も、相続開始前からきちんと対策を取ることで大幅に節税することが可能となる場合があります。相続税は故人が遺した大切な財産から支払われる税金です。1円でも無駄にしないために、生きている時から1日でも早く、相続税の問題にきちんと向き合うことが必要なのです。