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日銀がETF売却開始を決定
年間3300億円ずつで「112年」かかる試算
日本銀行は9月18、19日の金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)の売却開始を決めた。
このタイミングでの決定を株式市場ではほとんど予想されていなかったこともあり、発表直後に株価が急落する場面もあったが、ETF売却ペースが非常にゆっくりであることなどから大きな混乱は生じなかった。
これまで日銀はETFの処分について「時間をかけて検討したい」という趣旨の説明を繰り返してきた。
法的には問題ないとはいえ、時価85兆円を超えるETFをいつまでも保有し続けるのが好ましくないことは自明であり、その処分方法や時期を巡って市場関係者の間ではさまざまな議論がなされてきた。ようやく日銀が処分に向けて踏み出すことは評価すべきと考える。
筆者の試算では、直近9月19日時点で、日銀が保有するETFの時価総額は85.7兆円、さらにETF保有を通じて、株式の10%以上を持ち日銀が「大株主」となっている企業は71社に及ぶ。中央銀行がここまで株式市場で大きな存在になっていること自体が異常であり、そうした事態の解消は当然だ。
日銀は年間3300億円(簿価ベース)程度のペースで売却するとしており、株式市場への影響を限定的にするということでは、売却の考え方も評価できる。
だが筆者の試算だと、日銀が想定するペースでは売却完了までに112年かかる計算だ。
植田和男総裁も会見で「100年後、我々はいない」と述べたが、日銀は異次元緩和の名の下に「処理に100年以上かかることをした」という意味は改めて問われるべきだろう。
市場売却ペースの加速などは、さらに今後、検討されるべきだが、それでも少しばかりペースアップしたところで“焼け石に水”という見方もできる。
筆者は別の現実的なETF処分の方法があると考えている。







