Photo:Anadolu/gettyimages
金融市場は「高市トレード」に沸いているが、現状ではイメージ先行と言わざるを得ない。高市政権が日銀の利上げ判断に直接介入すれば、さらなる円安進行でインフレ再燃が避けられず、政権にも打撃となる。市場の混乱回避の観点から利上げ時期が若干後ずれする可能性はあっても、利上げ路線自体の撤回はあり得ない。(亀田制作 SOMPOインスティチュート・プラス エグゼクティブ・エコノミスト)
イメージ先行の「高市トレード」
高市首相の発言はバランスに配慮
金融市場は、10月4日の自由民主党総裁選での高市早苗氏の選出を受け、円安・債券安・株高という、いわゆる「高市トレード」で大きく反応した。その後、公明党の連立離脱を受けて市場はいったん様子見モードとなったものの、日本維新の会との連立を経て21日に高市総裁が首相に指名されたことで、再び円安・株高が進んでいる。
「高市トレード」の背景には、新首相がアベノミクス路線を継承するとの見方から、拡張的な財政政策や成長戦略に対する市場参加者の期待が高まっていること、また、日本銀行の追加利上げが遠のくとの予想が台頭していることがある。
しかし、金融政策を含め、マクロ経済政策に関する高市首相の発言は、これまでのところバランスに配慮した内容となっており、具体的なアクションもこれからであるため、現時点での金融市場の反応は多分にイメージ先行と言わざるを得ない。
2025年1月の米国のドナルド・トランプ大統領就任時もそうであったが、対外的なプレゼンスの高いリーダーの就任当初に見られる期待先行型の市場の反応は、その後、具体的な政策内容やその実行力に関する情報が明らかになっていくにつれて、良くも悪くも修正されていく。
高市首相の就任が日銀の金融政策運営に与える影響についても、足元の市場の反応とは少し距離を置いて、冷静に分析していく必要がある。







