金融政策決定会合後、記者会見する日銀の植田和男総裁=10月30日午後 Photo:SANKEI
日銀、6会合連続で利上げ見送り
「緩和維持」の高市新政権へ配慮
日本銀行は10月30日に開いた金融政策決定会合で、大方の予想の通りに、金融政策の維持を決めた。政策金利の据え置きは6会合連続だ。
自民党総裁選などでも、積極財政・緩和維持を主張し、「金融政策は政府が責任を持つ」と語る高市早苗新首相就任後の初めての金融政策決定会合での日銀の判断が注目されていた。
公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、「各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性はなお高い状況が続いて」いることを引き続き指摘しており、これが追加利上げ見送りの主な理由と説明している。
植田和男総裁は、決定会合後の会見で、トランプ関税の海外や国内経済への影響をなお見極める必要があるとし、とりわけ国内では「来年春闘に向け、企業の収益に下押し圧力がかかる中で、賃金引き上げの動きが途切れることがないか、もう少し確認したい」と語った。
だが展望レポートでは、2025年度の実質成長率見通しを前回7月時点から引き上げたほかは、26・27年度とも成長率や物価の見通しは変えていない。
実際のところ、日銀が今回金融政策の維持を決めた真の理由はこの不確実性を見極めることではなく、日銀の利上げをけん制する高市政権との決定的な対立を避けようということだろう。
ただし日銀が、この先、追加利上げを断念してしまう可能性はかなり低い。
今週、トランプ大統領に合わせて来日したベッセント米財務長官は、「インフレ抑制に取り組むための裁量の余地を日銀に与えるよう、日本政府に呼び掛けた」と語っており、ドル安志向のトランプ政権への配慮や連立のパートナーの日本維新の会との関係維持などから、今後、高市政権が日銀の利上げをけん制する姿勢を弱める可能性があるからだ。
12月18・19日の次回の金融政策決定会合で日銀は、0.25%の追加利上げを決めるとの見方は強まっており、筆者も「12月の追加利上げ」のこれまでの予想を変えていない。







