日銀「利上げ見送り」の本当の理由は何か、実質賃金“プラス化”のめど立たず!?Photo:JIJI

政策金利「現状維持」を決定
高市新政権と日銀の関係は?

 日本銀行は、10月29~30日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレートオーバーナイト物の誘導目標)を0.5%に据え置くことを決めた。金融正常化に踏み出した日銀だが、追加利上げの見送りは6会合連続になった。

 政策金利据え置きの政策判断自体は金融市場の事前予想に沿った内容だったが、その理由についてはさまざまな解釈があり得る。

 積極財政・緩和維持を掲げる高市早苗新政権への“配慮”やトランプ関税の波及の顕在化が遅れているなかで、米国や日本経済への下押し影響を十分、見通せていないことなどだ。

 だがあえて最大の要因を挙げれば、実質賃金のプラス化のめどがなお立たないことにあるのではないか。

 植田和男総裁は、決定会合後の会見で、政策金利を据え置いた理由を、「トランプ関税による企業の収益下押し圧力が強まる中で、(高い)賃上げ設定が途切れることがないかをもう少し確認したい」と述べ、今後の利上げのポイントとして、来年春闘での製造業、自動車などの動向と食料品周りの物価上昇率の低下が見通し通りに進むことを挙げた。

 さらに「国内の企業の賃金設定という点が納得できれば、政治状況に関係なく金利は調整する」とも語った。

 物価上昇を上回る賃上げが確認できれば、従来の「緩和度合いの調整」、金融政策正常化を継続するということだろう。