「一日に会話する人の数」は、「下がった・減った」と「変わらない」の割合は半々程度。「自分で判断し、主体的に進める度合い」「顧客満足や組織業績の向上への影響力」「仕事の成果の見えやすさ」「新しいことを勉強する時間や機会」は「変わらない」とする割合のほうが高い。ひとくちにポストオフといっても、変化を感じている内容は多様である。

「失ったもの」以上の
「得たもの」とは?

 さらにこの調査では、ポストオフによって「失ったもの」と「得たもの」を尋ねている。こちらの回答も非常に興味深い。役職を外されたことによるマイナスの面もあれば、プラスの面もあることがよくわかる結果となっている。一部抜粋してみよう。

「給与が下がり、影響力がなくなった。一方、これまで考えたこともなかった新しい職務にチャレンジするのは、少し楽しい」(53歳男性・事務系・部長ポストオフ)

「仕事へのモチベーションがこれほど減るとは思わなかった。ただ、新しい業務へのチャレンジは毎日が勉強で、それはそれで面白い」(57歳女性・事務系・部長ポストオフ)

「みなぎる気力というか、ぎらぎらするものがなくなったと感じることが多くなっている一方で、優しい気持ちが出てくるようになった」(61歳男性・事務系・部長ポストオフ)

「会社からの成果の期待減によりモチベーションが失われた一方、会社内外へ個人の能力をアピールすることの重要性に気づきました」(53歳男性・技術系・課長ポストオフ)

「会社員としては、さまざまなことを失った(否定された)。プライベートの時間は得た」(52歳男性・事務系・課長ポストオフ)

「年齢によるものなので邪魔をしてはいけないと思うが、役職によってはまだ一線にとどまっている人もいることからすると、自分に足りなかったものは何だったのかと考えてしまう」(55歳男性・技術系・課長ポストオフ)

 調査の結果を概観すれば、給与や周囲の期待、影響力が減じ、時間や自由、余裕を得たという趣旨の回答が散見される。