どうしたら考え方をうまく変えることができるのかは難しいポイントであり、ある程度の時間がかかることは多くの人が証言しているところでもある。
しかし、それでも多くの人が自分なりに時間をかけながらではあるものの、仕事をしていく中で緩やかに考え方を変えていくのである。
「世の中はこうやって動いているんだ」「企業はミドルシニアをこんなふうに考えているんだ」「家計の問題もいずれは解消するんだ」と、自分や会社、世の中の流れをロングレンジで冷静に受け止めていく。そんな心持ちが必要になってくるだろう。
ポストオフ後の意識改革に関するキャリア研修を実施する企業も、徐々に増えてきている。
これまでは「高齢者に研修をしても費用対効果が低い」「今さら学ばない」と考える企業がほとんどだったが、近年はミドルシニアに対して一人前のプレイヤーとして働いてもらいたいと考える企業も増え、リスキリングのための専門教育や、ポストオフ後の意識転換を促す研修が増えてきている。このような取り組みがあるかないかによっても、ポストオフされたミドルシニアのモチベーションは変わってくる。
60歳以上の人が
「仕事をしたい理由」とは
次に紹介したいのが、図表3-11である。これは2023年にリクルートジョブズリサーチセンターが、60歳以上の人を対象に「仕事をしたい理由」というアンケート調査をした結果である。定年後のミドルシニアは何を目的として働いているのか。興味深い結果が出ている。

1位は「生計の維持のため」(41.9%)、2位は「健康維持のため」(38.0%)、2位は「自由に使えるお金(お小遣い)の確保のため」(34.7%)、4位は「社会とのつながりを得るため」(32.5%)、5位は「家計を補助するため」(31.5%)。この5つの回答が特に多かった。