長らく続いた大幅な円高傾向も昨年末から反転し、一時は1ドル100円を突破した為替相場。円安になったことで、海外からの旅行者数の回復が期待されている。政府主導のインバウンド政策が推進されるなか、都市部だけでなく地方でも外国人観光客の誘致は大きな課題だ。
外国人旅行客への対応で苦労をするのは、やはり言葉の問題。大手ホテルや商業施設では外国人スタッフを配置したり、会話研修を行うなど、相応の対応を行っているものの、中小規模の施設では、時間的にもコスト的にも難しいのが現状だろう。
そんななか、注目をあつめているのが、「リアルタイム通訳」と呼ばれるサービスだ。これはスマートフォンやタブレットのビデオ通話機能を使い、必要な時だけオペレーターを呼び出し、同時通訳をしてもらうサービスである。
2012年、このサービスを開始したのが「スマイルコール」。英語、中国語、韓国語の三ヵ国語に対応しており、専用アプリを使って通話する。
使い方は簡単だ。通訳が必要なときにアプリを起動して希望の言語をタップ。するとオペレーターからコールバックがあり、ビデオ電話を介して通訳をしてくれるという流れだ。
ビデオ通話なので、オペレーターの表情を見ながら会話できるのが大きな特徴。音声のみの通訳にはない安心感、親しみやすさが好評を得ている。
日本に来た外国人が利用する場合、スマホ付属のカメラを使って、読めない看板、標識、メニューなどを映せば、翻訳も可能だ。また、1対1だけでなく、数人のグループ会話も通訳OK。
現在、百貨店や大手ホテル、レストランなどで導入が続いている。使用料は定額制で月1万8000円。外国語堪能なスタッフを雇用するほどの需要はないが、時々は外国人が訪れ、その対応に苦慮している。そんな小売店や観光施設には、スマホの通訳サービスは役に立ちそうだ。