素人でも最低限
戦える方法とは?

 スケートボードの特許が取れなかった理由は、特許庁からの拒絶理由に対する対応に失敗したからです。特許出願自体は、関連する書籍もたくさん出ていますし、特許庁でいろいろな書類を見て、見よう見まねで書くことができなくもないのですが、拒絶理由に対する補正書対応というのは、「新規事項追加の禁止」などの細かい決まりがあり、参考書も少なく、60日の期間制限もあるので、素人だった僕が少し勉強したところで太刀打ちできるものではありませんでした。

 そして、補正書対応は、最初の出願時の書類に書いた範囲でしかできないため、拒絶理由が来てから弁理士に頼んでも遅いのです。やはり、餅は餅屋です。

 このように、素人が自分で特許を出すということは、家をDIYで建てるようなもので、面白さもありますが、土台がしっかりしていないために後で全てゼロになってしまう可能性もある、と覚悟しておく必要があります。

 それでも、どうしても費用の関係で自分で提出したい、という場合もあると思います。

 自分で出せば印紙代の1万5000円だけで済むので魅力的です。そんな方のために、素人でも最低限戦える方法を伝授します。

 明細書と図面に、考えうる限り全てのバリエーション、効果を書きまくるのです。発明に至った経緯や最終案にたどり着くまでの経過も書きましょう。書きすぎて困ることはありません(注2)。

 一方、書いていないことは後から主張することができません。図面に書いたからわかるでしょ、というのはNGです。これでもか、というぐらいに文章も書いてください。

 全てを書いて出願すれば、書いてある内容について先願権を獲得できます。誰かに先を越されて泣くことを回避できます。

 また、出願さえしておけば、サイト等に「特許出願済」と書けますし、他者に「特許になるかも」と思わせることで参入をためらわせ、次に説明する審査請求までの3年間、マキビシのように追随を防ぐことができます。
 

注2:厳密には「○○しない方が良い」「○○には向いていない」などのネガティブ記載は包袋禁反言として自分の首を締める可能性があるので気をつけましょう。