製薬業界は今年度、リストララッシュだ。中でもいずれも大阪の薬の街、道修町に本社を構える3社、すなわち三菱系の田辺三菱製薬、住友系の住友ファーマ、非財閥系の武田薬品工業の「悲喜こもごも」に業界中の関心が集まっている。特集『三菱・三井・住友 揺らぐ最強財閥』の#2では、リストラの詳細を独自取材した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
リストララッシュの製薬業界
6社で900人以上を募集
かねて人材の流動が激しい製薬業界ではあるが、2024年度はリストララッシュだ。
今年度は判明しているだけで、6社で合計900人以上の希望退職者を募集している。組織再編に伴うもの、業績不振によるものなど、各社の背景はさまざまだ。
うち3社は、大阪の薬の街である道修町に本社を構える。業界首位の武田薬品工業、20年から三菱ケミカルグループ完全子会社の田辺三菱製薬、住友化学が過半の株式を保有する住友ファーマ(旧大日本住友製薬)だ。
言わずもがな、田辺三菱と住友ファーマは財閥系だ。武田薬品は非財閥系ではあるが、現在の取締役会議長は元三井物産会長の飯島彰己氏であり、発祥をたどれば住友家とも浅からぬ縁がある。
さて、この製薬3社におけるリストラ。ダイヤモンド編集部の独自取材によると、大きな「格差」が垣間見えるものとなった。特に希望退職に手を挙げた者に支給される「加算(割増)退職金」について3社の間で大きな差が出ている。次ページから具体的な中身を明らかにしていこう。