武田薬品 「破壊と創造」最終章Photo by Seiko Nomura

武田薬品工業は希望退職者を募集することを8月2日に発表した。本連載『【スクープ】武田薬品工業「国内のリストラ」の詳細が内部資料で判明!募集対象者、加算退職金の水準は?』では、日本事業のJPBU(ジャパン ファーマ ビジネス ユニット)と国内R&D(研究開発)部門で行うリストラの対象者、退職加算金について詳報している。ダイヤモンド編集部ではこれに引き続き、労働組合と会社との協議内容が記載された社内文書を新たに入手。連載『武田薬品 「破壊と創造」最終章』の本稿では、リストラに対して社員が不安を募らせる「不適切面談」をめぐる組合と会社の攻防をお届けする。(ダイヤモンド編集部 野村聖子、土本匡孝)

武田薬品社員が不安を募らせる
「不適切面談」の実態

 武田薬品工業は5月上旬に行われた2024年3月期決算発表の場で、25年3月期の事業構造再編費用に1400億円を計上すると発表した。クリストフ・ウェバー社長は2014年の就任以降、幾度となく人的リストラを伴う構造改革を実施してきたが “血の入れ替え”はまだ足りなかったようだ。

 本連載#1『【スクープ】武田薬品工業「国内のリストラ」の詳細が内部資料で判明!募集対象者、加算退職金の水準は?』では、8月2日に発表された日本事業のJPBU(ジャパン ファーマ ビジネス ユニット)と日本のR&D(研究開発)部門におけるFCP(フューチャー・キャリア・プログラム)、いわゆる希望退職者募集の対象者、退職加算金について報じた。さらにダイヤモンド編集部では、労働組合と会社との協議内容が記載された社内文書を新たに入手した。

 この社内文書によると、組合側は2016年、20年、22年の構造改革を例に挙げ、数度にわたり従業員の努力や痛みを伴う施策を実施してきたにもかかわらず、今回のプログラムを実施せざるを得ない背景・必要性を説明するよう求めた。加えて、会社側に「不適切面談」への対策を強く要請した。

 公表されている限り、FCPへの応募は任意であり、今回の対象者の条件は「勤続3年以上」のみで役職・年齢の限定もない。組合によれば、それでも過去のFCPにおいて特定の社員に対し「望まぬ退職を勧められた」とも受け取られかねない個別面談があったことで、社員から不安の声が生じているという。

 次ページでは、今回入手した社内文書に記載された過去のFCPにおける不適切面談の実態、組合の要請に対する会社側の回答について詳報する。