製薬業界最大手、武田薬品工業が今年度、再び大型リストラを実施する方針だ。先月、国内リストラの中身を詳報したダイヤモンド編集部は、これまでも武田薬品の近年の大変革をつぶさにウオッチしてきた。連載『武田薬品 破壊と創造 最終章』の本稿では、前回に続き『週刊ダイヤモンド』2014年6月28日号第1特集「病める製薬王者タケダの暗雲」で掲載した記事を抜粋する。記事では、クリストフ・ウェバー氏のトップ就任直前、社内外に広がった「ある懸念」を紹介している。(ダイヤモンド編集部)
大企業かつ業界の老舗タケダに
招かれた外国人ウェバー社長
国内製薬最大手、武田薬品工業は5月、2024年3月期決算発表のタイミングで、25年3月期の事業構造再編費用に1400億円を投じると発表した。ダイヤモンド編集部は8月下旬に内部資料を入手し、国内リストラの詳細な中身を報じた(詳細は8月26日配信『【スクープ】武田薬品工業「国内のリストラ」の詳細が内部資料で判明!募集対象者、加算退職金の水準は?』)。
事業構造再編費用は、15年から社長CEO(最高経営責任者)を務める外国人のクリストフ・ウェバー氏体制で過去2番目の規模だ。この約10年間、ウェバー氏は大規模なリストラや組織再編を断行してきた。これらはしがらみがなくグローバルな経営的視点を持つ外国人社長だからこそ出来たとも評価できる。
ウェバー氏が招へいされて当初社長COO(最高執行責任者)になる直前、『週刊ダイヤモンド』2014年6月28日号では特集「病める製薬王者タケダの暗雲」を展開している。当時も今も、大企業トップに外国人が招へいされて就任するケースは珍しく、時には物議をかもしてきた。
大企業かつ製薬業界の老舗である武田薬品においても然りだった。当時の記事を次のページで紹介する。