銅相場はトランプ関税の不透明感和らぎ「1万ドル」回復、世界景気の堅調さが高値圏を下支えPhoto:PIXTA

銅相場は、米中通商摩擦や関税政策、FRBの利下げ観測に翻弄されてきた。COMEX(ニューヨーク商品取引所)の銅相場は一時1万3000ドル超と史上最高値を更新し、LME(ロンドン金属取引所)との差は一時3000ドルに迫った。その後、トランプ関税についての不透明感が和らぎ、両者の格差は縮小した。現在は米中協議や中国需要回復期待も交錯する中、銅相場は1万ドル前後の高値圏で推移している。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

米COMEXの相場が
英LMEを大きく上回っていた

 自動車、エレクトロニクス製品、建築など幅広い分野に使われる銅は、国際指標とされるLME(ロンドン金属取引所)の先物3カ月物が米相互関税への懸念から4月上旬に1トン当たり8100ドル近くまで下落したが、その後は持ち直し傾向で推移し、足元では一時1万ドル台を回復し、2024年6月以来の高値を付けている。

 一方、COMEX(ニューヨーク商品取引所、先物3カ月物)の銅は、7月下旬に1万3073ドルと史上最高値を更新し、LME相場を約3000ドルも上回っていた。

次ページでは、夏場以降の銅先物相場(LME、3カ月物)の変動要因を中心に振り返ってみる。