同じ調査による月別・死因別の死亡率をみると、「インフルエンザ」「不慮の溺死及び溺水」「煙・火及び火炎への曝露」「不慮の窒息」「その他の虚血性心疾患」「急性心筋梗塞」「喘息」などは、冬になると死亡率が大きく上昇する。溺死は夏に多そうなイメージがあるが、実際には冬場の風呂でのヒートショックによるものが多い。室内を温める重要性は、こうしたデータによって示されている。

 このように、暑いほうが危険なイメージがあるが、実際には寒いほうがはるかに危険なのだ。

暑さのほうが危険と
感じやすい理由

 ただ、冬にリスクが上昇するこれらの死因では、寒さはあくまで間接的な理由であり、熱中症のように暑さが直接的な死因となっているわけではないじゃないか、と思われる方も多いだろう。

 そこで、暑さが直接死につながる熱中症と、寒さが直接死につながる低体温症の死者数も比較してみると、両者の死者数は同程度で、低体温症の死者数のほうが多い年もあるのだ(図)。

グラフ同書より転載 拡大画像表示

 夏に熱中症で人が亡くなるとニュースになりやすいが、冬の低体温症も同じくらいの人が亡くなっているのにあまりニュースでは見かけない。「暑さのほうが危険」と感じやすいのはそうしたニュースの偏りも原因なのかもしれない。

 ところで、KSB瀬戸内海放送のニュースによると、2014年から2019年にかけて全国約2200軒の戸建て住宅の冬(11月~3月)の室温を調べた結果を都道府県別に整理すると、リビングの平均室温が18℃を超えたのはわずか4道県で、ほとんどの県が18℃を下回っていたとのことだ。

 最も室温が高いのは北海道の平均19.8℃で、逆に最も低いのは香川県の平均13.1℃だった。