寒い地域は家の断熱・暖房がしっかりしており、暖かい地域は逆なのだそうだ。筆者も北海道出身だが、たしかに北海道は暖房をガンガン使用して寒さを我慢しない人が多い。これに慣れてしまうと、関東の室内の寒さは逆に我慢ができない。

こたつの使用で
冬の死亡リスクが上昇!?

 このニュースで調査を担当した慶應義塾大学教授の伊香賀俊治らは、人口動態調査をもとに都道府県別に、冬季に死亡者がどれだけ増加するか、その割合をまとめている。

 増加率がもっとも低いのは北海道で10%、室温が最も低い香川県は21%で、都道府県の中で9番目に高くなっていた。やはり室温の低さと死者数の増加は関係がありそうだ。

 この調査で面白いのは、局所暖房(こたつのこと)を使用している場合は、使用しない場合よりもリビングの温度が平均で1.5℃低いという結果が出ていることだ。たしかに、北海道の家では部屋全体を温めるので、こたつをあまり見かけない。

 つまり、こたつの使用が冬の死亡リスクを上昇させることになるのかもしれないのだ。

 また、2024年元旦に震度7の揺れが襲いかかった能登半島地震では、多くの人が体育館やビニールハウスなどでの避難生活をしいられた。このような状況で懸念されるのが、寒さを原因とする災害関連死である。

 2004年の新潟県中越地震や2016年の熊本地震の際には、地震による家屋倒壊などの直接死よりも、地震後の避難生活での体調悪化などによる災害関連死のほうが多かったのだ。

 死因としては、肺炎などの呼吸器系疾患や、心不全などの循環器系疾患が6割ほどを占めており、どちらも寒さでリスクが増加する。

 本稿の執筆時点(2025年)で、能登半島地震では298人の災害関連死が認定され、直接死の228人を超えている。さらに、これ以外にも申請が出されているため今後も増加する可能性がある。

 今後の大災害における災害関連死を防ぐという意味でも、低い室温の危険性はもっと周知されてよいのではないだろうか。