キャッシュレス“先進地”をめざして
PayPayもインド進出を決定
いまや、1杯10ルピー(18円)のチャイやマーケットの野菜売り場でも、キャッシュレスでの支払いに対応していることが多い。首都ニューデリーの市場で女性客が次々に入っていく洋服店でも、モバイル決済サービス「Paytm」などのQRコードが掲げられていた。
買い物に来ていたプリヤ・ナンダワナさん(29)は、スマホを取り出して専用アプリでコードを読み込み、料金を入力していく。支払いは5秒もかからず終わった。店員のアビシェーク・ヤダブさん(22)は「この数年で、客の8割がキャッシュレスでの支払いになった」と言う。
同書より転載 拡大画像表示
この「先進地」を目指し、日本のキャッシュレス決済大手「PayPay」もインド進出を決定。同社として初の海外進出で、2023年にニューデリー近郊に開発拠点を開いた。
現地法人の社長に就いた平川宗則さん(39)は「優秀なエンジニアをいかに採用するか。この経営課題のブレークスルーを探っていた」と説明する。18年のPayPay立ち上げの際にはPaytmから技術助言を受けている。
現地の大学でITを学んだエンジニアを採用し、PayPayの仕様変更や機能追加を任せており、平川さんは「この分野ではインドの方が進んでいる。エンジニアの絶対数が多く、大きなシステム開発を経験している人も多い」と話す。
『インドの野心 人口・経済・外交――急成長する「大国」の実像』(石原 孝・伊藤弘毅、朝日新聞出版)







