逆説的に聞こえるかもしれないが、どうすれば自社も競合他社もそろってもっと良い仕事ができるかを考えてみる。

 そうすると、現状でそれがないことに対する不満は表面化していないものの、顧客にとって価値がある潜在的ニーズが浮かび上がってくる。

長期的に売れている商品は
痒いところに手が届く

 絶えず小さな向上を続けるブランドとしていつも事例に取り上げられるのが米Colgate-Palmolive(コルゲート・パルモリーブ、日用品大手)で、1世紀近くにわたり市場をリードしてきた。

 人々が毎日意識せず使う商品であること、またP&Gや英Unilever(ユニリーバ)といった手ごわい競合会社があることを考えると、素晴らしい業績だ。

 コルゲートは常に市場を動かしてきた。かつてフッ化物の1種MFP(モノフルオロリン酸ナトリウム)を配合した歯磨き粉を発売し、「ブルー・ミンティ・ジェル」「トータルSF」といった多彩なブランドを展開し、最近ではリサイクルできる歯磨き粉チューブも話題になった。

 業界の内部の人は、こうしたイノベーションを実際以上に大きな業績のように捉えているが、実際に消費者が画期的だと考えていた商品は少ない。とはいえ、利用者にとって意義ある便益があったので、何十年もその商品が買われてきたのだ。

 自分が知っている中で最大の成功を収めた企業を思い浮かべてみるとよい。ごく一部の例外はあるものの、多くの場合、地味ではあっても、絶えず小さなイノベーションを積み上げていくことが長期的な成功の鍵となる。この点は、企業のビジネス全体にも当てはまる。

Fred Perryを甦らせた
ハイエンドなリブランディング

「もっと良くする」という顧客の基本的ニーズにフォーカスせずに多くのことをやりすぎると、ブランドはどうなるだろう。このことに関しては数えきれないほどの事例がある。

 英Fred Perry(フレッドペリー)は、ハイエンドなスポーツファッションのブランドだと一般に考えられているが、ジョン・フリン氏がCEOに着任したときは混乱を極めていた。