成長を目指して必死になり、より多くの客層に入り込もうとして、ハイエンドとローエンドのシャツを一緒くたにして扱っていた。ブランドポジショニングが明確でないので、混乱した顧客にそっぽを向かれた。

 現在ではフレッドペリーは、細部までこだわってデザインした統一感のある商品ラインアップを展開していて、そのおかげで再び成功している。

 最も重要なのは、ブランドロイヤルティーが高いハイエンドの消費者に選ばれるよう、もう一度力を注いだことだった。

 誰もが、突破口を開くような華々しいイノベーションを強く求めるものだ。こうしたイノベーションは、成功すれば莫大な利益を生み、多くの人に称賛される。

 しかし、そんな成功はめったに起こらない。「少しずつ積み重ねる」と言うといかにも単純だが、Webサイトの「フォロワー」を増やしていく過程と同じように、製品とサービスを絶えず少しずつ向上させていくことが、多くの企業にとって長期的に利益を拡大する原動力となる。

Appleの洗練されたデザインは
たゆまぬ努力と改善があってこそ

 イノベーションで有名な米Apple(アップル)も同じだ。

「競合他社を打ち負かし、現在のような市場シェアを獲得できたのは、このようなたゆまぬ改善の結果だった」と、共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、亡くなる少し前に、投資家の求めに応じて語った。

 代表的製品iPhone(アイフォン)やiPad(アイパッド)などのデザインで有名な元最高デザイン責任者のジョナサン・アイブ氏は「私たちが目指すゴールはとてもシンプルだった。もっと良い製品をデザインして作る。それだけだ。もっと良いものができないなら、作らない」と述べている。

 何週間も何年もかけて顧客のニーズに「もっと良く」応えながら競争に勝とうとすることは、顧客の課題を見つけるためのアプローチとして望ましい。なぜなら、「顧客の視点に立って」最も大切なことを見つけざるを得なくなるからだ。

 顧客の視点は、企業の想定とは異なり、より現実に即している場合が多いのだ。