双方の大規模戦闘は2008年12月~2009年1月、2012年12月、2014年7月~8月、2021年5月に発生。いずれも数百人、ときには2000人以上の死者を出している。

 それらとは桁違いの規模で起きたのが2023年10月に始まった今回のガザ戦闘である。

『パレスチナ占領』書影『パレスチナ占領』(平野雄吾、筑摩書房)

 イスラエル軍に近い民間シンクタンク「メイル・アミット・インテリジェンス・テロ情報センター(ITIC)」は2025年3月13日、今回のガザ戦闘中にイスラエル軍がガザ地区から押収したとする文書を基に報告書を発表した。

 ハマスによる「イスラエル壊滅計画」は10年間近く温められ、2021年5月のガザ戦闘以降具体化したと主張。レバノンの親イラン武装組織ヒズボラと共謀し、イランにも計画を事前に伝えていたとしている。

 また、イスラエル軍の調査報告書によると、ハマスがイスラエル奇襲を決定した時期は2022年4月。同9月までに85%の準備を整え、10月7日決行と決めたのは2023年5月だった。

 こうした背景のもと、イスラエル軍は同年10月7日以降、ガザ地区に苛烈な爆撃を加えていく。「ハマス壊滅」や「人質奪還」を掲げるが、そこには報復に加え、これまでの対ハマス政策の誤りをすべて帳消しにしたいという焦りや後ろめたさもあるようにさえ映る。