「歩幅が安定しない人」も
要注意
またしばらくして実験装置を購入し、一歩一歩の計測ができるようになった。
「単純に歩幅が広いか狭いかということだけでなく、一歩一歩のばらつきが大きいことが認知機能との関係が強かったのです。例えば平均65センチの歩幅でも、突然55センチになったり、70センチになったりと、“歩幅が安定しない人”は脳内もしくは脳と足の間の神経回路のどこかで、情報のやりとりを阻害する問題が生じていると考えられます」
さて自分の歩き方に問題があるかどうか、どのようにわかるのか。
「横断歩道を歩くスピード」で
自分の歩行速度を簡単チェック
簡単なチェックは「歩くスピード」である。歩行スピードが遅いかどうかは、「1秒間で何メートル進めるか」で考えるとわかりやすい。前期高齢者(男性)の平均値は、1秒間に約1.1~1.5メートル進む。信号機の「青」は、点滅するまでの間に毎秒約1メートルの速度で横断歩道を渡りきれるような基準だ(実際には交通量などを加味して時間が設定されている)。そのため時間内に渡りきれなければ歩行スピードは遅いと考えられるだろう。
「または同世代、同性の人と一緒に歩き、自分ではいつもと同じリズムで歩いているのに遅れてしまう、いつもの道を歩くのに時間がかかるようになったなどの場合、歩幅が狭くなっているかもしれません」
歩幅の目標値は65センチ
横断歩道の白線でチェックできる
歩くスピードの決め手になる歩幅について、「目標値は65センチ」と谷口研究員。歩幅とは、一方の足のつま先から、もう一方の足のつま先までを指す。
国立環境研究所環境リスク・健康領域の谷口優主任研究員。歩幅の目標値は65センチ。理想的な歩き方として、「今の歩幅にプラス5センチ」を谷口研究員は提案する
「横断歩道の白線がおよそ45センチなので、つま先を白線に合わせて次の一歩で超えられればOKです。足の大きさが25センチなら、白線の幅に足の大きさを加えた長さである歩幅は70センチとなります。また、たたんだ状態の新聞の横サイズが41センチなので、これも軽々超えられるなら、歩幅が65センチ以上はありますね」
もちろん10メートル程度の距離を歩いて、「歩数」で割っても平均歩幅が出る。
ここで「身長」は関係しないのか? と疑問に思う人がいるかもしれない。もちろん身長が高い、足が長ければ歩幅は広くなりやすい。けれども大事なことは「意識すれば歩幅が広げられるかどうか」「歩幅が安定しているかどうか」なのだという。







