Bさんの成功要因は、仕事選びの基準を「SEという職種」から「周囲と関わりながら作り上げる」へとシフトさせたことにあります。 単に「IT企業」で働くことではなく、「どう働きたいか」というプロセスに焦点を当てたことで、Bさんは自分にとっての「快適な職場」を見つけることができました。
「石の上にも三年という言葉も分かりますが、自分の人生、やりたいと思った時にチャレンジすることも大事」 。Bさんのその言葉には、自らの足で一歩を踏み出した人だけが持つ、確かな重みがあります。
「20代前半での転職でのポイントや留意点」
自分に合ったキャリアの見つけ方として、以下の三つのステップがあります。
1. 自己理解: 自分の強み、苦手、大切にしたい価値観(動詞)を知る。
2. 仕事理解: その仕事が具体的にどんな業務(動詞)なのかを知る。
3. 接点の言語化: 1と2が重なる部分を見つける。
特に20代前半の若年層は就業経験が浅いが故に(2)の「仕事理解」が弱くなり、自分の想像上のイメージで捉え、仕事を「名詞(業界や職種名)」で選んでしまいがちです。
例えば以下の二つは、「消費者(ユーザー)」としての視点です。
・「ゲームが好きだから、ゲームクリエーター(名詞)になりたい」
しかし、仕事とはそのサービスや商品を提供する「生産者」になること。そこには、次の2点のような、必ず泥臭い「動作」が伴います。
・ゲームクリエーター=「納期直前のプレッシャーの中、大量のバグを修正し続ける(動詞)」
佐藤 光紘さとう・みつひろ/大学卒業後、新卒でリクルート(旧リクルートキャリア)へ入社。 新卒・中途を問わず、若年層領域のキャリアアドバイザーを主に経験。現在は、キャリアアドバイザー組織の営業企画推進業務に従事。
Bさんの事例がまさにそうでした。「システムエンジニア」という名詞ではなく、「チームで協力して作り上げる」「人に分かりやすく教える」という動詞の部分に自分の喜びがあると気づいたからこそ、納得のいく転職ができたのです。 「何が好きか(名詞)」よりも「何をしている時が心地よいか、夢中になれるか(動詞)」を言語化すること。これがミスマッチを防ぐ最初の一歩です。
Aさんも、Bさんも、転職活動を通じて、自分の持ち味(自己理解)と、企業のリアルな業務内容(仕事理解)をすり合わせる作業を行いました。 キャリアアドバイザーという第三者は、この「仕事理解」の解像度を上げ、あなたの「自己理解」との接点を見つけるためのパートナーでもあります。
キャリアの道は、直線ではありません。 回り道をしたり、立ち止まったりした経験こそが、後のあなたを支える強固な土台になります。 焦らず、あなたのペースで、今後のキャリアのことを考えてみてください。









