世界大恐慌再来を救った主要新興国
2007年以降のグローバルな環境を振り返れば、大恐慌以来、最大規模のバランスシート調整を迎えた欧米では、2007年のサブプライム問題、翌年のリーマンショックと金融面の危機が生じた。
すでに1990年代からバランスシート調整が続く日本も含め、先進国として世界をリードした米欧日の3局が同時に大幅なバランスシート調整を迎えることは戦後初であり、1930年代以来の大恐慌不安も生じた。
実際に、金融政策上、日米欧はゼロ金利政策に近い水準まで金利引き下げを行い、3局同時に民間セクターが資金余剰に転じる戦後初の状況の中、長期金利は各地域で史上最低金利水準まで低下した。
下の図表1はグローバルな景気先行指標であるが、日米欧が連動して調整が生じた。しかも、2007年以降、2012年まで6年にわたる調整期間とその深度は、戦後最も深刻なものと言っていい。
ただし、その深刻さは1930年代の大恐慌と較べれば明らかに軽微で、その背景には日米欧の世界に占める割合の低下があった。すなわち、新興国の台頭が世界大恐慌を救った。
同時に、そこで中国を中心とした新興国は、その見返りに今や過大な負担を背負ってしまった可能性もある。図表1では、中国が2007年以降、なかでも2008年以降、日米欧の低下が続くなか「4兆元対策」で大幅に先行指標の水準を伸ばし、日米欧のサイクルとは異なる対応で世界経済を支えたアンカーになった。