イーベイが読み違えた
日本の「消費者文化」とは?
それは、日本市場の「消費者文化」を読み違えていたことです。
まず、イーベイでのアカウント作成にクレジットカード登録が必須であった点が、日本の消費者に強い心理的ハードルとして働いたと考えられます。
当時の日本では、オンラインでカード情報を入力することに強い抵抗感がありました。総務省の統計(2001年)によれば、オンラインショッピング利用者のうちクレジットカード決済経験があるのは半数止まり。ある大学の社会調査では、20代のクレジットカード所有率は5割にとどまっていました。
一方、当時のヤフオクは手軽に利用できました。2001年5月に本人確認としての月額制(指定銀行口座振替かクレジットカード引き落とし)を導入するまでは、Yahoo!JAPANのID登録(無料)で入札や出品が可能な状況だったと報じられています。
さらに、出品に英語が必要な場面があったことや、問い合わせ対応が英語中心であったことも障壁となりました。
1995年に創業し、グローバル規模でのネットワーク効果を先行して獲得したイーベイは、グローバル標準をそのまま日本に持ち込みました。しかしその一方で、ローカライズの不十分さから、多くの潜在ユーザーを遠ざけてしまったのです。
結果として、グローバルでの出品物を日本から買えるという強みも、ネットワーク効果として発揮しきれない状況でした。
その後、イーベイは日本の個人間取引(C2C)から距離を置き、2008年以降は越境取引支援という別領域で再参入。現在はQoo10などのマーケットプレイス事業を通じて存在感を維持していますが、国内のオークション市場で主役となることはありませんでした。
メルカリが若年女性層を開拓できたワケ
イーベイは気づいていたが……
2010年代、個人間取引(CtoC)の主戦場はPCからスマートフォンへと移行します。
ここで存在感を示したのは、2013年にリリースされたフリマアプリのメルカリです。







