例えば、大学進学率は親世代の頃は4人に1人だったのに対して、現在は2人に1人以上。それだけ多くの大学生が就活で競っている。
大卒求人倍率も、親世代は2倍以上の超売り手市場だったのに対して、現在は学生有利とはいえ1.66倍。つまり、誰でも志望する企業に入れるわけではない。
日本の産業構造も大きく変化した。かつての就職先の代表格は製造業(メーカー)だったが、現在はサービス業の比率が上昇。インターネットを中心に、30年前には見られなかった新しい業種も台頭している。
そうした違いを踏まえつつ、親としては子が就活を進める上で自己分析を深め、企業研究を進め、キャリアを考えるための「壁打ち」の相手になることが大事である。
「壁打ち」とは、自分の考えや悩みを整理し新たな視点やアイデアに気付くための対話の相手になることだ。ポイントは相手の話をよく聞き、適切な質問を投げかけること。意見を先に言ったり話を途中で遮ったりしてはいけない。
「やりたいこと」よりも
「得意なこと」にフォーカス
親子の壁打ちで特に取り組みたいのが「自己分析」である。
就活においては「自分がやりたいこと」を軸に業界や企業を考える学生が多い。しかし、仕事というのは自分が好きなことをするのではなく、社会の役に立ち、周りから評価されることが第一義。すなわち「消費者」ではなく「価値提供者」という役割を果たすことだ。
それには「自分がやりたいこと」よりも「得意なこと」にフォーカスするのがよい。この点については、子の成長を小さい頃から見守ってきた親にはいろいろ気付くことがあるはずだ。
「得意なことを中心にした自己理解をベースに、自分の強みを生かせる業種や職種、企業を探す。この『適職選択』こそ就活を成功させる重要な鍵だ」とインディードリクルートパートナーズの栗田貴祥氏は強調する。
「適職選択」と表裏一体なのが「キャリア自律」だ。具体的には、自分のキャリアを企業に委ねるのではなく自ら主体的に選択するとともに、時代の変化に応じたスキルセットを生涯にわたって身に付けていくこととされる。







