「3年で転職すればいいや…」キャリア志向の強い若者が、結局“理想の会社”に巡り合えないワケ業界・企業研究の「仲間内の常識」を、一旦リセットしてみよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の「就活の専門家に聞く!ライバルに差を付ける業界・企業研究」を転載したものです。

就活に欠かせない業界・企業研究だが、「どこから手を付けていいか分からない」という人は多い。SNSや就活の仲間内で「常識」とされている情報が、実態と異なるケースもあるだろう。だからこそ、現場で企業の採用や学生の就活を見続けてきた識者の意見を参考にすることは重要だ。

 どうしたら自分にピッタリの会社が見つかるのだろうか――。

 今や大学を卒業した新入社員の約3割が3年以内に離職している。最初の就職を「長いキャリアのファーストステップ」と捉え、転職を繰り返す人も多い。それは新しいキャリア観として前向きに語られることも多いが、一方で彼らが「理想の会社」に出合えていないことが理由とも考えられる。

 最初の就活で本当に自分に合う会社に巡り合えれば、転職せずに一生そこでキャリアを積んでもいい。「それこそが幸せな就職」というのも一つの考え方である。

 そんな「良い会社」を見つけるためにはどんな業界・企業研究が必要なのか。まず、これまで自分がどんな物事に興味を持ってきたか、その興味の延長線上で、これからどんな仕事をしていきたいかという「自己分析」から始めよう。

 マイナビのキャリアリサーチラボで就活・採用市場をリサーチする中島英里香氏は「自己分析は過去の経験の棚卸しと未来の生活設計を包括的に行うことが重要で、早くから時間をかけて取り組むべき」と指摘する。自己分析によって、自分が行きたい業界・企業の候補を早期に絞り込むことができれば、それだけ深い研究が可能になるからだ。

「ピンポイント就活」が
2026年卒で増えた理由

 そして研究を行う際に重要なのは、その業界や企業で何が起きているのかという生の情報を収集し、現場の雰囲気を体験することだ。足や人脈を使った地道な就活にこそ勝機がある。

「2026年卒では、志望企業を早めに絞り込み、内定を得るとすぐに就活を終える学生が増えた」と中島氏は語る。学生の就活の長期化が報道されている中で、こうした「ピンポイント就活」の動きも出始めているのだ。

 そうした学生には、大学のキャリア教育や企業の長期インターンシップなど、自らの仕事観と向き合ったり、企業とリアルに接したりする機会を活用している傾向が見られる。会社選びに迷いがないから、就活を効率的に行い、納得のいく内定を手にしているのだ。