『会社図鑑』などのヒット著作を持ち、学生の就活事情に詳しいオバタカズユキ氏も「SNSなどの偏りがある情報ばかりでなく、紙の就活媒体、大学のキャリアセンター、OB・OG訪問など、リアルな接点から企業理解を深めていくことが大事」と指摘する。

 最近は、ES(エントリーシート)の作成にAIを活用する学生が急増している。ESを量産できるようになったため、多くの学生は応募先を広げ過ぎて企業研究が甘くなり、志望動機が薄くなってしまう傾向がある。

まずは業界・企業研究を
ESが先ではない

 今や企業の採用担当者も学生がAIで作成したESを見慣れており、選別眼が厳しくなっている。企業研究が不十分な学生は、すぐに見抜かれてしまう。企業を深く研究し、本質的に理解してから就活に臨まないと、勝ち残れない。

「まずは業界・企業研究ありきで、ESが先ではないと学生は心得るべき」とオバタ氏は語る。

 どうやって志望企業を絞り込めばいいか分からないという人は「自分が苦手な印象を持っている職種や社風の企業を、消去法で選択肢から除外していくことから始めるといい」(オバタ氏)。

 最初に就職する企業との出合いが大切なのは、今も昔も変わらない。その後転職を経験することになっても、そこで身に付いた働き方の価値観は変わることなく、一生のキャリアに影響を与える。学生時代の今だからこそ、業界・企業研究にじっくり取り組みたい。

 業界・企業研究では「社会人の先輩」として親がアドバイスを求められることもある。親は自分の意見をあくまで参考として伝え、子の判断を優先しよう。

(Diamond WEEKLY 事業部 編集チーム)