逢坂(おうさか)剛は87年に『カディスの赤い星』で直木賞を、また松浦寿輝(ひさき)は00年に『花腐し』で芥川賞を受賞した。松浦はフランス文学者で、東大教授を務めながらの文筆生活だった。
文芸評論家・小説家の中村真一郎と、小説家・仏文学者の福永武彦は、共に1918年3月生まれで旧制開成中学の同期だった。二人は、終生の文学的盟友となった。福永の長男は、芥川賞作家の池澤夏樹(都立富士高校卒)だ。
きだ・みのるは小説家・翻訳者で、ファーブルの『昆虫記』を共訳した。
『星の王子さま』(サン・テグジュペリ)の翻訳で知られる仏文学者の内藤濯(あろう)もいた。
スポーツ評論などの作家・虫明亜呂無、映画評論の荻昌弘もOBだ。荻は東大卒後にキネマ旬報社に入社した後、映画評論家としては初めてテレビでレギュラー番組を持った。
東大卒の「二刀流」ピアニスト
世界で活躍する角野隼人
音楽で才能を発揮した人物もいる。
この数年で注目を浴びているのは、ピアニストで音楽家の肩書を持つ角野隼人(すみの・はやと)だ。95年生まれで3歳からピアノを始め、開成高校を経て東大工学部計数工学科に進学、勉学とピアノレッスンの二刀流を続けてきた。
東大大学院在学中の18年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、およびスタインウェイ賞を受賞した。19年にはリヨン国際ピアノコンクールで第3位、21年にショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストになった。
音楽ファンのみならず、こうした折り紙付きの実力によって世界中から熱い視線を集めるようになり、24年に日本武道館で単独公演を開催し、25年11月にはカーネギーホール大ホールでのソロリサイタルデビューも果たした。
ピアニストの嘉屋翔太(19年卒)は、開成高校を経て東京音楽大に進学、21年にフランツ・リスト国際ピアノコンクールにて最高位に入賞し、注目されている。
関根彰良(97年卒)は東大文学部に進学、ジャズ研究会に所属しながらプロ活動を始めた。ライブをはじめ、さまざまなセッションやレコーディングなど幅広いジャンルで活躍中だ。
作詞・作曲家では猪俣公章がいた。開成高校から日芸(日本大芸術学部)音楽科を卒業、『おふくろさん』(森進一)、『女のブルース』(藤圭子)、『千曲川』(五木ひろし)など数多くのヒット曲を、人気歌手に提供した。







