「先手の取り方」は
チーム全体の視点で考える

 借金を返し終えたら、次は、先手を取るための方策です。

 マネジャーは、チーム全体の仕事に責任を持ちます。

 もちろん、プレーイングマネジャーとして活躍することを期待されている人は、まずはプレーヤーとしての仕事でも後手に回らないことが極めて重要なのですが、マネジャーという肩書を持っている以上は、「チーム」の成果を最大化することに目を向けなければなりません。

 そのため、「先手を取る」ことを目指すにあたっては、チーム全体で考える必要があります。

 それを踏まえると、マネジャーは

1. チームへの指示内容の整理
2. 自分のアクションの整理

 の二つの観点で、年始に向けたアクションを考えることになります。

1. チームへの指示内容の整理

 後手に回っているもののうち、その解消にメンバーの稼働が必要なものもあるでしょう。

 また、何か新しい方針を決めた場合にも、それを実行する際には、メンバー一人一人の協力が必要です。

 そうしたことを考えると、年始早々に「方向性を共有し、動いてもらうこと」が重要です。

 これをうまく設計することが、マネジャーが「仕事の先手を取る」際に、もっとも重要なことです。

・ しばらく止まってしまっていた案件の進め方を決めて、担当者に、訪問予定時期および、そこでの提案内容の指示を出す

・ 営業管理のやり方を刷新し、新しい管理シートに作り変える指示を出すと共に、運用開始時期を定めてスケジュールを提示する

・ 余裕がなくて後回しになっていた部下との面談に向けて、一人一人についての情報を棚卸し、あらかじめトピックを共有して面談日程の調整を始める

 といったようなことを設計し、具体的に整理します。

 また、一人一人に適した「伝え方」も、腰を据えて考えると良いでしょう。

 例えば、部下との面談についても

「Aさんはバリバリ仕事を進めるが、抜け漏れがでやすいので注意が必要。ただ、これを事前に言うとへこんでしまって良さが消えてしまうリスクがあるので、事前のアジェンダ共有では細かい指摘はしないようにしよう」

「Bさんは最近伸び悩んでいるが、後輩からの人望も厚く、マネジャーを目指すための訓練をしてほしいので、Xさんの指導役になってもらおう。これは、面談より前に伝えて心構えをしておいてもらった方が良いし、参考書籍や記事なども事前に伝えておいた方が良いだろうな」

 というような違いが、それぞれにあると思います。

 こうしたことを考慮するのは、時間と心に余裕のある状況の方が適しています。