4月に「なぜ女子は1人で牛丼店に入りづらいのか?」という記事を掲載し、大きな反響を得た。その際、男性読者の方々からは、「男でも入りづらい店がある」という意見が多く寄せられた。多かったのがスイーツの店である。今流行りのパンケーキ店、おしゃれなカフェ、ホテルのスイーツビュッフェ――。いずれも「女性客が主体」というイメージが強いものの、性差の垣根が少しずつ低くなっている現在において、「1人ではスイーツ店に入りづらい」と感じる男性がまだまだ多いのは、なぜだろうか。スイーツ店の関係者に話を聞くと、実は女性をメインに見据えた商業施設においても、女性客より男性客のほうが効率がいい場合が多く、「上得意客」なのだという。世間で増加中と言われる“スイーツ男子”の潜在需要を堀り起こし、ビジネスチャンスにつなげるため、業者はどんな知恵を持つべきか。男性と女性の「食」に対する考え方の違いなどをヒントに、徹底分析した。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)

牛丼女子だけじゃない
「男だって入りづらい店はある」

「スイーツ男子」という言葉が流行るなか、女性客に囲まれて1人でスイーツを楽しんでいる男性を、街で見かけることも多くなった。しかし、たとえスイーツ好きでも「女性で溢れるスイーツ店には1人で入りづらい」と感じる男性は、まだまだ多い。女性が1人で牛丼店に入りづらいのと、同じ心理と言えるだろう。(写真はイメージです)

 二重まぶたのプチ整形、血液クレンジング、メイクサロン、むだ毛処理……。これらは全て、ここ最近、男性向け美容としてニュース記事で紹介されたサービスだ。着飾ることが好きな「装飾系男子」、美容に関心が高い「綺麗男」(きれお)などの造語も、見かけるようになった。

 女性の男性化、男性の女性化は以前から言われていることだが、ファッションや美容に関することは、意外に性差の垣根が低いのかもしれない。逆に、垣根がないようで実はあるのが、食や娯楽に関するサービスではないだろうか。

 化粧品やファッションのように、はじめから明確に「女性向け」「男性向け」と分けられているわけではないが、だからこそ「踏み込みづらい」という領域が暗黙の了解としてあり、無意識の壁が存在する。

 4月に「なぜ女子は1人で牛丼店に入りづらいのか? 値下げ競争のなか、あえて問い直す各社の集客戦略」という記事を掲載し、大きな反響を得た。その際、男性読者の方々から「男だって1人で入りづらい店はある」という意見が多く寄せられた。

 そこで今回は、翻って男性が1人で入りづらい店、1人で利用しづらいサービスについて、その理由やサービス提供側の集客方法の課題を、徹底的に調べてみた。ネット上の意見を集めたり、周辺調査を行ったりした結果、集まった男性の本音は次のようなものだった。