「相手が理解しやすいように」「脳の負荷を下げるように」

 話し方は“相手への思いやり”が形になったものです。

 伝わりやすい話し方とは、決して技巧を凝らすことではありません。

 わたしは、客員教授として、成蹊大学で講義をしていますが、学生に対しては、結論を断定しすぎない話し方をするようにしています。

 具体的には「語尾を少し残す」「あえて言い切らない」「間を入れて考える余白をつくる」という話し方です。

 例えば、「これは間違いです」ではなく、「ここ、どう思いますか」と聞いてから、間(ま)を置き、「私はこう考えています」といったように、学生に問いかけながら、考えさせる時間を与え、答えが出ないときにはこちらの考えを伝えるという方法です。

 学生は、大人以上に「間違えたらどうしよう」「変なことを言ったら評価が下がるのでは?」という不安を抱えています。 

 この方法を使うことによって、学生は「考えていい場」「発言していい場」だと認識しやすくなり、安心して発言できる空気、つまり心理的安全性につながります。

「相手が理解しやすいように」「脳の負荷を下げるように」と心を配ることが、結果として伝わる話し方につながります。ちょっとした意識の積み重ねで誰でも磨くことができます。そして、その積み重ねが、仕事の成果や人間関係の質を、大きく変えていくはずです。