そこで吉田社長は、借金の返済記録の日付を、手付金の支払日よりも「前」に書き換えるという小細工を行いました。「ほら、会社のお金が入る前に借金は返してるんだから、無関係ですよ」と言い訳するためです。

 極めつけは、借金先であるI社の「ハンコ」まで偽造したことでした。自分で勝手にハンコを作って領収書に押し、「これで文句ないだろう」と監査法人に提出していたのです。一企業のトップが、偽造工作をしている姿を想像すると、滑稽さを通り越して哀れみさえ感じてしまいます。

うそを重ね続ける社長
関係者、取引先が告発

 しかし、悪事は長くは続きません。2021年4月、事件は急展開を迎えます。

 なんと、これまで不正に加担していた協力会社が、監査法人に対して「実はあれ、全部うそです」と内部告発をしたのです。

 なぜ、共犯者だったはずの協力会社が裏切ったのでしょうか? それは、吉田社長の要求が「危険すぎる領域」に達したからでした。

 当初は「お金の通り道になってくれればいい」程度の頼みだったのが、次第にエスカレート。「宮古島の土地売買契約書に、正式な実印を押してくれ」と迫るようになったのです。

 もし架空の土地取引に実印を押してしまえば、後で「契約通り土地をよこせ」「できないなら損害賠償を払え」と言われかねません。協力会社としても、「さすがにそこまでのリスクは背負えない」と恐怖を感じたのでしょう。これが決定打となり、不正の一部が明るみに出ました。

 それでも吉田社長は「俺はやってない!」とシラを切り続けました。さらなる偽装工作を行い、のらりくらりと追及をかわし続けたのです。この往生際の悪さが、結果として会社の傷口を広げることになりました。

 ついに2024年、証券取引等監視委員会(SESC)の調査が入るという最悪の事態に発展。

 ここでも吉田社長は、借金先のI社に対して「うその合意書を作ってくれ」と頼み込みますが、I社にも「いやです」と拒否され、逆にその事実を会社側に通報されてしまいました。

 外堀も内堀もすべて埋められた瞬間でした。