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「子どもを亡くした悲しみを、無理に乗り越える必要はない」そう語るのは、タレントの風見しんご。自身の子どもを交通事故で失った経験を、いまも全国各地で語り続けている。自身も夫を亡くしている筆者が、子に先立たれた2人の男性のその後に迫る。※本稿は、ジャーナリストの河合真美江『喪の旅 愛しい人に出会い直す』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
トラックの下敷きになった娘を
必死に助けようとした風見しんご
「えみるは生きていれば26歳。私の中では10歳のままなんです」
警視庁中野署などが主催した交通安全講演会で2022年12月、タレントの風見しんごさん(60)は語り出した。
2007年1月17日、都内で暮らす一家のいつもと変わらない朝のはずだった。「ちょっと寒いね」。小学5年生の長女えみるさんは言い、学校へ向かった。家を出て100メートル先を右へ曲がる時「おじいちゃん、いってきまーす」。玄関先で見送る祖父へ満面の笑みで言った。
その角から50メートル先の横断歩道で、えみるさんはトラックにはねられた。あわてて駆けつけた。娘がトラックの下敷きになっている。ひとりで持ち上げようとした。びくともしない。情けなくて、へたりこんだ。
病院に搬送されて救命中、妻(55)は「がんばれ」と叫び続けた。医師は言った。
「がんばっていますよ。心臓が一度動き出しました」
事故に遭ったのは午前8時8分。9時33分、えみるさんは旅立った。
その晩、えみるさんを抱いて自宅に帰った。玄関に入る時、生まれたばかりの娘を抱いて帰宅した日のことを思い出した。あたたかかった、小さなわが子が……。
「でも、それはつらい思いのスタートに過ぎなかったのです」と講演を締めくくった。







