「入口」「出口」「引く」「押す」「トイレ」「男性」「女性」などは確実に複数回見かけることになるから、何度も遭遇するうちになんとなく覚えてしまう。そうすると、帰国する頃には、現地語の単語だけが使われている表示を見た時にも、意味がわかるようになっている。
到着直後の空港や駅にいるうちに覚えてしまうと、街中を歩いている時にわかる情報が増えて楽しい。屋台の看板に書いてある内容も、食べ物という現物がセットで目に入るので覚えやすい。
異国の地で漢字を見かけると
不思議な安心感を覚える
街中で最も頻繁に見かけるのはもちろん現地語で、次点が英語だが、それ以外に何の言語を見かけるかという点が結構面白い。隣国の言語のこともあるし、そうでないこともある。
例えば、私は博士課程の時に少しだけバルト三国のひとつリトアニアに留学していたのだが、リトアニアでは旧ソ連ということもあってロシア語を比較的よく見かけた。
リトアニア人のロシアに対する感情は以前からあまり良くなかったように思うが、それでも街中ではロシア語を聞くことが結構ある。スーパーの店員さんが客に合わせてリトアニア語とロシア語を使い分ける光景もよく目にする。ただし、若い世代はどちらかというとロシア語よりも英語の方が得意なようである。
中国語も世界各地で見かける。私が見た範囲では、主に銀行や企業の建物に書いてある。
覚えているのはポーランドのワルシャワで、「中国銀行」とでかでかと書いてあった。異国の地でよそ者として街を歩くといつも肩身が狭い思いをするが、そんな折に見かける漢字の安心感はすごい。「漢字文化圏」という言葉は伊達じゃないと思う。
中国人とロシア人の喧嘩を
日本人が翻訳する珍妙な絵面
一方、その中国で英語の次に見かけるのは、私の体感だと日本語である。特に「私の本」というような時の「の」は中国語の単語の間に挟まっていたりすることがある。中国人は「の」に相当する中国語の「的」という単語として発音しているらしい。唯一の例外は「中国のハワイ」こと海南島である。







