チャック・モール(メキシコ国立人類学博物館)Photo:PIXTA

多感な中高生の多くは、超古代文明・オカルト・宇宙人などをミックスしたトンデモコンテンツにとりつかれがちだ。そんな彼ら・彼女には、本職の考古学者の姿を見てもらうのが一番だろう。地道にコツコツと遺跡を掘り続け、歴史教科書の記述を変えさせるほどの発見をものにした筆者が、本気の仕事ぶりを語る。※本稿は、青山和夫、大城道則、角道亮介『考古学者だけど、発掘が出来ません。多忙すぎる日常』(ポプラ社)のうち、青山和夫による執筆パートの一部を抜粋・編集したものです。

われらが京都よりも歴史が長い!?
密林の中に残る巨大都市遺跡

 セイバル遺跡は、グアテマラにあるマヤ文明の大都市遺跡である(写真1)。そこには、先古典期中期(紀元前1000~前350年)から後古典期前期(紀元後1000~1200年)までの2000年以上にもわたり、例外的に長い人間の居住があった。セイバルは、マヤ文明の起源から王権や都市の盛衰などの社会変化を2000年以上にわたって通時的に研究できる、考古学者が一生に一度は調査をしたいマヤ文明を代表するチャンピオン級の遺跡だ。こうしたマヤ文明の起源から2000年を超える長期間の社会変化は、居住期間が短い遺跡や後世の遺跡では検証できない。

写真1 セイバル遺跡写真1 セイバル遺跡 同書より転載