社員一人ひとりの力が発揮できるように…

 ファシリテーターを務め終えた齋藤さんに、今回の3社グループ合同主催イベント「となりの多様性 ちがいを知って、ちがいに寄り添う」の感想を尋ねた。

「社会全体で、LGBTQに関して十分な知見が蓄積されているとは言えない企業が多いなか、このようなイベントを同業種の他企業横断のかたちで開催するケースは少ないです。同じ業界だからこそ、共通する課題もあると思います。今回のイベントでは、グループ各社のご担当者が率直に悩みを共有している姿が印象的でした。合同主催は、自社独自では得られないノウハウや解決のヒントが得られるので、とても意義があるものだと感じました」(齋藤さん)

 2017年~20年にかけて、ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにした雑誌『Oriijin(オリイジン)』が発行されたり、この10年あまりで、ジェンダーをテーマにした書籍の刊行が一気に増えた。国の法制度では、2023年(令和5年)6月に、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が公布・施行され、DE&I、セクシュアルマイノリティ、LGBTQといった言葉を、企業経営層や人事担当者が強く意識する時代になっている。また、履歴書の性別欄が任意記載項目になり、さまざまな企業が従業員一人ひとりの個性を重んじて、採用方法や働く環境を見直す動きを進めている。

 しかし、いまだ、実際の職場では、アンコンシャスバイアスやマイクロアグレッションが横たわり、セクシュアルマイノリティへの理解が十分になされているとは言い難い。

 そうしたなか、今回のような、「(一人ひとりの)ちがいを知って、ちがいに寄り添う」ためのイベントは、働く人たちにとって、大きな価値があるだろう。登壇したKさんもWさんも、「(当事者の)存在を知ってもらうこと、存在を否定されないことが大切」だと口を揃えて言う。

「LGBTQへの理解を推進することはLGBTQの当事者だけではなく、すべての人にとって働きやすい職場づくりにつながります。こうしたイベントの開催は、社員一人ひとりの力を発揮できるようにするDE&Iの観点とコンプライアンス対応の観点の両方の意義があります。組織力強化を通じて、企業の競争力強化や収益向上を目指すためにも、LGBTQの方々の声を聞く取り組みを継続することをお勧めします」(齋藤さん)

LGBTQの理解促進――「となりの多様性 ちがいを知って、ちがいに寄り添う」ことの大切さを考える

主な参考文献
・『トランスジェンダーと性別変更 これまでとこれから』(2024年/岩波書店 高井ゆと里編)
・『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』(2021年/太田出版 社会応援ネットワーク著)
・ダイバーシティ&インクルージョン『Oriijin(オリイジン)』(2017年~2020年/ダイヤモンド社)