自民単独過半数なら5月に日経平均「5万8000円台」も!?衆院選結果別の株価シナリオPhoto:AFP=JIJI

2月8日の衆院選は、与党が「過半数(233)」を維持できるか、さらに「安定多数(243)」を確保できるかが焦点だ。過去の衆院選後の日経平均の推移を、過半数の有無と自民党の議席シェア増減で分類し、株価の上昇・下落パターンを検証。選挙結果別に3カ月後と年末の水準を試算する。(マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト 吉野貴晶)

株価の分岐点となる与党の勝敗ラインは
過半数233と安定多数243

 2月8日に予定されている衆院選の結果次第では株価が大きく変動することになるだろう。そこで、衆院選後の株価水準について、過去の衆議院選データの結果を基に考察する。

 まずは、1月23日の解散時点における勢力を確認する。連立与党は自民党が196議席、日本維新の会が34議席の計230議席。2025年11月には、無所属議員3人が自民党と行動を共にする自民会派に加わり、与党側の勢力は実質的に上積みされ、衆議院の定数465議席の過半数となる233議席にちょうど達していた。

 過半数は法案の可決に必要な最低限の議席数であり、与党側がこれを獲得できない場合には、個別法案ごとに野党の協力を取り付ける必要が生じ、政権運営は不安定化する。重要法案や予算審議のたびに交渉を重ねることとなり、政策のスピードや一貫性が損なわれやすい。

 獲得議席数で重要なラインは、過半数とともに243議席の安定多数である。安定多数は高市首相が掲げる責任ある積極財政や中長期的な成長投資を政策として継続・実行していくためには、最低限確保すべき議席ラインである。

 25年11月には与党側は過半数を確保していたにもかかわらず、高市首相が今回、衆議院解散・総選挙に踏み切ったのは、自民党単独での過半数確保、さらには与党側としての安定多数確保を視野に入れた判断であると考えられる。安定多数を確保できれば、多少の造反や欠席が生じても国会運営に支障を来しにくくなり、政策遂行の確実性が高まる。

 安定多数の確保には、国会運営上、重要な意味がある。予算委員会や財務金融委員会、外務・安全保障関連委員会といった政権運営の中枢を担う委員会を含む常任委員会の委員長ポストを独占し、かつ各委員会の委員数を野党と同数以上確保でき、審議日程や採決を主導できる体制が整うからである。

 高市内閣の支持率は、NHKが1月13日に発表した世論調査で62%と、月次ベースでは20年9月以来の高水準に達している。このタイミングで自民党が大勝し、単独で安定多数を確保できるかが今回の解散・総選挙の焦点である。

 実際に今回の総選挙で自民党が勝利できるのか。高市首相の人気は内閣支持率の高さにも表れているが、一方で自民党の政党支持率は必ずしも高水準とは言えない。この両者の乖離は、選挙結果を見通すうえで注意すべきポイントである。

 25年10月に高市政権が発足した後も、物価高や実質賃金の伸び悩みが続くなか、家計への負担感は依然として根強い。こうした状況は、生活防衛意識の強い無党派層を中心に、与党離れを招く可能性がある。

 今回は記録的な寒波のなかで投票日を迎える可能性があり、投票率の低下が懸念される。投票率が下がる局面では浮動票の動きが鈍り、組織票の影響力が相対的に高まる傾向がある。野党の中道改革連合は、比較的強固な組織票を有しており、選挙区によっては与党にとって不利に働く可能性も否定できない。

「選挙は水もの」と言われるように結果の予測は容易ではないが、筆者はメインシナリオとして、自民党の単独過半数確保、さらに与党側での安定多数確保を想定している。

 高市政権が掲げる「責任ある積極財政」や「成長投資主導型経済」を進めていくためには、安定した政治基盤が欠かせない。分配を重視するだけではなく、成長を通じて国力を高めていかなければ、日本は国際競争のなかで次第に後れを取ってしまう。こうした危機感は、国民の間にも少しずつ共有されつつあり、それが高市内閣の高い支持率にも表れていると筆者はみている。

 1月26日に行われた日本記者クラブ主催の討論会で、高市首相は「自民党と日本維新の会で過半数を確保できなければ、即刻退陣する」と明言した。この発言は、今回の選挙を単なる政権維持の是非にとどめず、もし高市首相が退いたら、日本の成長戦略を誰が担っていくのかという点まで含めて、有権者に考えさせるものとなっている。その意味で、こうした姿勢が今回の選挙戦において、自民党にとって追い風となるとみている。

 次ページでは、選挙結果のシナリオ別に、過去の衆議院選挙後の日経平均株価の動きを手がかりとして、今後の株価動向を考えてみたい。